こんなサロン・美容室・経営者様にオススメです!
- 後継者にどのように引き継いでいっていいかわからない
- 後継者はいるけど、能力が不足しているように感じる
- 親族以外の承継の仕方がわからない
- 株と退職金のベストな方法を知りたい
- 税理士に相談しているけど、一般論しか言わないから不安である
- 事業承継をするにあたって、一番いい手法を知りたい
1.事業承継とは
事業承継とは、会社の経営を後継者に引き継ぐことを言います。
中小企業にとって、社長が誰を後継者にして事業を引き継いでいくのかは重要なテーマとなります。また、事業承継で重要な問題は、会社の経営権そのものである自社株式を誰に引き継がせるか、また、次の社長は誰にするのか?が問題とはなります。
2.経営者が選択すべき事業承継手段の3パターンとは?
事業承継には4つの方法があり、近年では下記の理由により「パターン3」が増加しております。
パターン1 子供、社員の後継者へ承継
子供、従業員への継承を検討されることが一番多いと思われます。
しかし、最近は下記の理由で困難なことが多いです。
(1)子供への事業承継
- 子供がいないため事業承継させることができない
- 子供が女の子しかおらず、嫁いでいってしまったため事業承継させることができない
- 子供が他社で出世しているため事業承継させることができない
- 将来性がない会社なので子供に継がせたくない
- 子供が社内にいるが、能力的に継がせられない
(2)従業員への事業承継
- 優秀な従業員だが、経営者のトップとしてみた場合まだ未熟で事業承継させられない
- 金融機関に対して借入れの個人保証へ入ることができない
- (仮に本人が承諾したとしても、その妻が反対するケースも多い)
- 会社の株式を譲り受ける資金を用意できない
パターン2 廃業
廃業は従業員の雇用や取引先との取引の面で他者に重大な影響を与える。
会社の資産売却における税務面でのデメリットも生じます
パターン3 M&A
M&Aとは、合併(Merger)と買収(Acquisition)の頭文字で、簡単に言えば、会社そのものを売り買いするという意味です。
親族や社内等に後継者候補がいない場合には、従業員の雇用維持、取引先の仕事確保、経営者の老後の生活資金確保等のため、会社そのものを売却し、第三者に経営してもらうことも考えられる選択肢の一つです。
近年では、中小企業におけるM&Aの件数が増加しています。ニッポン放送株をめぐるライブドアとフジテレビの問題以来、ニュース等でよく見かけるようになってきました。
M&Aにより後継者問題を解決するのみではなく、事業意欲旺盛な会社との協業により、相互に発展することが可能です。
3.事業を引き継がせる場合誰に引き継がせるのが良いのか?
親 → 子(サロンに勤務している場合)
メリット
- お互いのことをよくわかっているので、事業承継が一番スムーズに行く
- 時間のかかる人間関係構築の時間がいらない
- 早期に事業承継に取り組みことができる
- 周りの理解を得ることが用意
- 節税、相続対策が早期に立てることができる
問題点
- 経営者としての資質がない場合がある
- 今までの積み重ねにより既存スタッフより信用されないことがある
- 長年いるので、承継時期が遅くなる傾向がある
- 古参スタッフの処遇問題がでる
- 相続人が複数いる場合は、後継者となる相続人に経営権を集中させることが困難になる場合がある
親 → 子(他店で修業して承継する場合)
メリット
- 他のサロン(修行サロン)のいいところを入れることができる
- 自店を客観的に見ることができる
- スタッフへ事業承継のタイミングの話がしやすい
問題点
- 既存スタッフとの人間関係構築に時間がかかる
- 修行してきたサロンの手法を入れる傾向が強く、納得が得られない場合がある
- 後継者を呼び戻すのに時間がかかる
- 古参スタッフの処遇問題がでる
創業者 → スタッフ(血縁ではない場合)
メリット
- 人間関係ができているので、承継がしやすい
- 経営の一体化が保てる
問題点
- 株式譲渡が発生するため、資金調達が必要
- 同族会社でなくなるため、社長の引き際が難しい
- 個人債務保証の引き継ぎ等に問題が多い
- 会社債務に対する個人保証の引継ぎが金融機関の理解を得にくい
- 経営者の資質がない場合が多い
創業者 → 美容師免許を所持しない子
メリット
- 美容業界の常識にとらわれずに経営することができる
- 全体を俯瞰してみることができる
- 異業種との連携が可能
問題点
- スタッフの理解を得るのに時間がかかる
- 実務的な承継に時間がかかる
- 美容業界の習慣に慣れるのに時間がかかる
- 次期社長のモチベーション管理が難しい(孤立しやすい)
創業者→M&Aで売却する
メリット
- 身近に適当な後継者がいない場合でも、事業承継が可能となる
- 現経営者が株式(事業)売却による創業者利益を獲得できる
問題点
- 希望条件(従業員の雇用、売却価格等)を満たす買い手を見つけることが困難である
- M&A交渉に時間がかかることが多く、予定通りにいかないことが多い
- 創業者一族が経営から退くため、社内外とも経営の一貫性を保つことに苦労する
- スタッフの離職を引き起こす可能性が高い
4.美容室・サロン版の事業承継のポイント
事業承継のポイント
Point.1 親族でも本人の意思はしっかり確認しておこう
親族への承継とはいえ、本人への意思確認は重要です。
社長は息子(娘)が継いでくれるものだと思い込んでいたが、土壇場で本人にその意思がなかった、というようなことがないようにしなければなりません。
普段から経営者と後継者の間でのコミュニケーションはしっかりとっておくことがとても重要です。
Point.2 後継者の教育をしっかりしよう!
現経営者はさまざまな経験を積み、今の能力があります。
経営に必要な能力は短期間で身につくものではありません。
できるかぎり早い時期から社内外での教育を通し経験を積み、段階的に権限を委譲していくことが望まれます。
Point.3 後継者への自社株式の集中は絶対!
後継者が安定して経営をしていくためには自社株式(2/3以上が望ましい)を集中させて承継することが重要です。
自社株式を承継させるには後継者による自社株式の買い取り、および相続税、贈与税など多額の資金が必要となりがちです。
また自社株式が分散している場合には可能なかぎり買い取りを行うと同時に株式の分散を防ぐ必要があります。
Point.4 後継者以外の相続人への配慮
後継者への事業用資産、自社株式の集中の際に注意しなければいけないのが、後継者以外の相続人への配慮です。
生前贈与や遺言を用いて集中させる場合も相続人の遺留分(最低限度の資産承継の権利)の制約があります。
これには議決権制限株式の利用や経営承継円滑化法の「民法の特例」を活用することも有効です。
親族外承継のポイント
Point.1 後継者へのアナウンスと意思確認
スタッフへの事業承継の場合は、もともと社長(経営者)になる意識をもって入社・就業してない場合がほとんどなので、事業承継を意識した早期の段階で本人の意思確認をしておく必要があります。
また当然ながら、現経営者の親族の了解も重要となります。
そして今後の会社の方向性など経営方針の確認を十分に行っておくべきです。
Point.2 後継者への自社株式、事業用資産の集中
後継者が安定して経営をしていくためには事業用資産や自社株式(2/3以上が望ましい)を集中させて承継することが重要です。
ただし親族外承継の場合は後継者に株式を買い取るほどの資金がないケースが多いです。
この問題には会社の将来性を担保に金融機関からの融資などを利用したMBOの手法や、経営承継円滑化法を活用し、日本政策金融公庫から後継者への融資を活用できる場合もあります。
Point.3 個人補償・担保の処理
現オーナー経営者の個人補償について、後継者も連帯保証人に加わることを求められる場合があります。
また、事業承継後も現在の借入金の連帯保証が解除されないことも多々あります。
オーナー経営者は事業承継にむけて債務の圧縮に努めるとともに金融機関との交渉や後継者の負担に見合った報酬の設定などの配慮が必要です。
M&Aのポイント
Point.1 自社の磨き上げを行い、価値をあげよう!
より価値が高く「売れる」会社にするべく、会社の魅力の磨き上げが重要になります。
業績の改善、無駄な経費支出の削減、オーナーと企業との線引きの明確化に努めることや、サロンの資産・強みの認識と見える化などが重要になります。
Point.2 M&A専門の仲介機関の利用
オーナー経営者の希望条件などの希望にあう買い手をみつけるにはM&Aの専門的ノウハウを持っている、金融機関、商工会議所、M&A業者などの仲介機関に相談する必要があります。
Point.3 秘密保守が大前提
M&Aの交渉が進む前に、会社内にM&Aの情報が漏れると、社内の混乱は避けられなくなります。
また、社外に情報が洩れることにより、その地域で悪い噂が回り、M&Aをするまでに業績が悪化する恐れがあります。M&Aを進めるためには、秘密裏に交渉を進めることが絶対条件です!
5.事業承継計画を作成するためには?
経営理念の明確化や事業の中長期目標の設定を、次のような例示を参考にしながら行ってください。
なお、経営者と後継者が、これらの作業を共同して行い、同じ価値観を共有することが重要です。